簡単に合格はできない
法律系国家資格の中で、最も身近で受験しやすい資格になるのが行政書士です。
民間や公的資格はいろいろとありますが、国家資格の中では一番難易度が低いとも言われます。
だからといって簡単に合格できるものではありません。
試験のレベルとしては、確かに一番下であることは間違いありません。
司法試験を目指す法学部の大学生が、予備の資格として受験することがあることからも、高いレベルではないということがわかります。
ですが、合格率を見た場合、現在は10%を切る資格であることを忘れてはいけません。
それも、法律を勉強して受験してくるのですから、民間資格の合格率10%とは違いがあるという事を忘れるべきではないのです。
意外に難しい行政書士の範囲
試験範囲としては、基礎法学から始まり、憲法、民法、行政法、商法が範囲となってきます。
さらに、業務を遂行するために必要となる、一般常識が範囲となるところが、ほかの試験とは違う点でしょう。
街の法律家とも呼ばれていたことがある行政書士ですので、一般的な文書読解能力や情報通信にかかわる能力、個人情報保護法といった知識を問われることになります。
試験としては、用意されている選択肢を選ぶ方式と、40字前後で記入する記述試験ですが、選択式で一定点数に満たない場合には、記述式試験を採点しません。
合格基準としては、法令科目で50%かつ一般常識が40%以上の得点をしており、全体で60%以上の得点になっていなければ合格はできないのです。
そのため、法令科目で足切りされる可能性があります。
以前は、行政書士試験といえば、難易度も低く、合格も容易だったため、予備的な資格という意味もありました。
現在の難易度という事を考えると、その考えは改めなければならないほど難化しており、司法試験の受験を考えている法学部の学生でも合格できない例が出てきているのです。
とりあえず受験するといったレベルでは、合格することはできない試験となりました。
行政書士は転職には使えない?
行政書士資格を転職に役立たせることは、事実上不可能です。
その理由は、行政書士の資格を有するためには、行政書士法人に勤めるか、自分で行政書士として開業し、行政書士会に登録するしか方法はありません。
転職として考えるのであれば、行政書士法人しかないということになるのです。
では、行政書士法人が多数あるかといえば、そこまでの数があるわけではありません。
つまり、転職先としては、ほとんど期待することができないと考えても、差支えがないといえるのです。
行政書士の資格を使わず、合格したという実績だけであれば、法律を使う仕事につける可能性はあります。
それでも、ほとんどの場合は法学部から司法試験を受けてくるような人ばかりの世界ですので、行政書士の範囲だけでは、力不足になることは間違いないのです。
資格として生かしにくい部分を持っているのが行政書士ですが、独立開業するという方向性は十分にあります。
ただし、営業力もなければ、案件数を抱えることができませんので、将来的なビジョンも含め受験を考えていく必要があるといえるのです。